お向かいさんの新事実

こんにちは、妹です。

ドイツで一人暮らしをしている私の家はアパートで、4 世帯しか住んでいない小さな建物。

細い道路を挟んだこのアパートの向かい側は大きな建物で、上の階は住居用だけれど1階部分は店舗になっている。店舗には女性向けのメイク用品や美容品がずらりと並んでいるのが外から見える。なんだか眩しくて入ると気後れするようなお店だ。

階によっては天井の高さがこちら側と揃っているようで、私の家の窓を開けたとき、ちょうど向かいの建物の住人と視線が合う・・・合ってしまうことがある。

私の家の窓は 2 つあって、一つは大きくて表通り寄りに付いている。と言っても観音開きでバーンと開くというわけではなくて、実は窓を二等分したうちの右側しか開かない、というちょっと残念な作り。

もう一つの窓には元々カーテンが付いている。くるくると上に巻き上げられていくロールスクリーンというものだ。

付け加えると、これにもまた残念な点が。本来あるべき巻き上げ用の紐が無いために、私はいつも手動でくるくるとスクリーンを上に巻き上げないといけないのだ。しかも私の背が足りなくて、巻き上げるためにいつも椅子によじ登らなければいけない。

この丸く囲った部分の紐が付いていない。

私の1日は毎朝椅子によじ登り、よいしょ、とこれをくるくる巻き上げてからスタートする。

時々面倒になって、いっそ放っておこうかとも思うけれど、やはりそれでは暗いので仕方なく椅子によじ登る。

ところで私の部屋からはお向かいの家の窓が2つ見える。右側の窓の部屋に住むのは40-50代くらいのおじさんで、規則正しい生活を送りながら1日に一度は窓際で一人タバコを吸っている。

なんでそんなことが分かるかって、そのお向かいさんの窓が毎朝必ず早朝に開いているからだ。

そして、夜になるとまた決まった時間に明かりが消えて窓が閉じる。

それに対して、左側の部屋に住んでいるおじさん(これまた40-50代くらいに思えた)の部屋はキッチンに多くのものが積み重なっていて、生活に無頓着な様子がこちらからも見えてしまう。

ある珍しく大雨が降った日のお昼、慌てて窓を閉めていたらその左側に住むおじさんと目が合ってしまって、ハローと挨拶した。

やれやれなんて雨だ、という感じで苦笑するお向かいさん。気さくに話してくれる。

今日は全く変な天気だねえ

ええ、そうですね

・・・

それがある時、窓から外をぼーっと眺めていてふと気がついた。

このお向かいさんたちは、実は同じ人じゃないか、ってことに。

それまで、窓から見えるお向かいさんの様子が部屋の感じも含めて余りにも違い過ぎていて、全く別々の家だと思っていた。

左のおじさんは気さくで話しやすい雰囲気。でも部屋はあまり整理されておらず、雑然としていた。対して右のおじさんのお部屋は綺麗に片付いていてその部屋の奥の廊下まで見えるほど。でもタバコをふかす姿はちょっと孤独な感じで気難しそう。

あるとき右側のおじさんが左の窓にいるのに気がついた!

あれ?場所が入れ替わった?

最初はそう思って驚いた。

でも・・

違う、2つの窓は実は1つの家の窓だったんだ。

それによく考えてみたらおじさん達の顔はそっくりだった・・

あの左側のフレンドリーなおじさんと、右側のしかめっ面でいつも物思いに耽っているおじさんが同一人物だなんて。

なんだかすごい発見をした気分だ。

ところで念のため言っておくと、私はもちろんいつも窓から外ばかり見て 1 日を過ごしているわけではない。お向かいさんに目が行くのは窓を開け閉めするほんのわずかな時間だけ。

であるからこの家に住み始めて1 年が過ぎ、ようやくこの事実に気がついたのだ。

決して、お向かいさんの 1 日をずっと観察しているわけではないのであしからず。

【ドイツ音大 】先生との出会い その 1

こんにちは、妹です。

今、私が習っているドイツの音大の先生に初めてお会いしたのは、私が高校 2 年生になったばかりの 4 月の下旬のことだった。

姉がドイツ音大のピアノ科を受験することになった時、私も同じ音大の教授のレッスンを受けてみてはどうか、という話が上がったのだ。

その時の私のドイツ語力は(いつか記事にもアップしたように)勉強は続けていたものの会話力が追いついておらず、そのため始めの頃のレッスンはほとんど身振り手振りのなか進められていった。

初めてのレッスンの日。

約束の時間になり、先生がいらっしゃるというそのドアを初めて開ける時はそれはそれはとても緊張して、(今もレッスンが始まる時はいつもとても緊張するけれど)冷や汗ばかり出ていた気がする。

それまで日本でも何人もの先生の前で演奏してきたけれど、そしていつも弾く前にはすごくプレッシャーを感じていたけれど、今回はまた違う事情で身が縮む思い。

こんなにちんちくりんな私などが、恐れ多くもこの場にいてもよろしいのでしょうか?

不安の種を倍増させていたのは、はたして先生がおっしゃることをすぐに理解できるのか、そしてそれをパッとすぐに実行してみせることができるのか、ということと、

またその時レッスンに持っていったコンチェルトが、譜読みを始めてから 2 週間足らずだったため十分に弾きこめておらず、それを先生はどう思われるだろうか、ということだった。

そもそも私はそれまで外国人の先生のマスターコースなどを全く受けた経験がなく、今回が私にとって初めての外国人の先生のレッスンだったのだ。

初めての海外、それがドイツでの大学教授のレッスンとなった私の不安はそれは大きなものだった。

そしてドアを恐る恐る開ける。

女の先生がこちらを向いて近づいて来る。

ハロー、ウェルカム トゥー ジャーマニーみたいなことを優しく笑って言ってくださった時の安心感ったら!

先生との出会い 2 に続く